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Q&A

慰謝料が払えないのですが、自己破産すると免責されますか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年11月13日

1 自己破産と非免責債権

自己破産は、基本的にすべての債務の支払義務を免れる手続きです。

しかし、一部の債務は「非免責債権」とされており、破産手続をしても支払義務を免れることができません。

債務を支払う「責」任を「免」除する裁判所からの決定を「免責決定」といいますが、非免責債権は、この決定が出されても支払義務が免除されないこととなっています。

慰謝料は、この非免責債権にあたる可能性があります。

2 慰謝料の法的性質

前提として、慰謝料は、不法行為に基づく損害賠償請求権(民法709条)として生じる債権です。

そして、破産法のルールでは、「破産者が悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償請求権」(破産法253条1項2号)、「破産者が故意または重大な過失により加えた人の生命・身体を害する不法行為にもとづく損害賠償請求権」(同3号)については、非免責債権とされています。

加害者が破産をしてしまえば賠償を受けられない被害者の救済の必要性があるためです。

3 自己破産と慰謝料

上記のとおり、不法行為にもとづく損害賠償請求権は非免責債権にあたる可能性がありますが、他方で、条文を読むとすべての不法行為債権が非免責債権にあたるわけではない、ということがわかります。

そうすると、次に、「悪意で加えた」といえるのか、「故意または重大な過失により加えた人の生命・身体を害する」といえるのかが問題となってきます。

例えば、不倫を原因とする慰謝料は身体を傷つけるわけではありませんが、「悪意で加えた」といえる場合には免責されないことになるわけです。

この点については、破産手続における裁判所の評価・判断になりますので、離婚に至る経緯、その他の事情等が考慮されることになります。

実務上、非免責債権にはあたらない(=「悪意で加えた」とまではいえない)と判断される場合もあります。

これは、「悪意」という条文上の条件の読み方について、他者を害するような積極的な意思(学問上は「害意」と表現されます)がある場合に限定して考えるべきもの、と考えられているためです。

4 自己破産の前に弁護士に相談を

ひとくちに慰謝料といっても、不倫に関して生じる慰謝料だけでなく、喧嘩でけがをさせてしまった場合の慰謝料、交通事故等における慰謝料など、様々な要因で発生するものです。

「高額の慰謝料を支払わなければならなくなったから自己破産をしよう」と考えても、非免責債権にあたるとすれば解決になりません。

借金問題、債務整理の解決方法は自己破産だけではありません。

まずは自己破産という選択が適切か、弁護士に相談することをおすすめします。

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